マルチウィンドウを生き返らせる方法

ぼくたちがPCの上で操作しているものが「アプリケーション」であるのならば、マルチウィンドウである必要はない。けれど、ぼくらが操作しているものが「データ」であって、それが色々なウィンドウの間でやりとりされる「もの」であるならば、それぞれに応じたウィンドウの間を渡り歩く必要がある。そうすると、必然的にウィンドウは幾つも開かれてしまう。でも、狭い画面で複数のウィンドウが開かれても、かえって見にくくなってしまう。この問題を解決するためのものとして「expose」はぼくらの前に現れた。

ここを読んでる人がexposeを知らないとは思えないけれど、一応解説しておくと、exposeとはMacOSX10.3から導入された、複数のウィンドウを一覧形式で見やすくしてくれるための仕組みだ。

http://www.apple.com/jp/macosx/features/expose/

1クリックで(もしくは、1ボタンで。もしくは、マウスの動きで)、ウィンドウが一望できるようになる。はたまた、デスクトップが見えるようになる。恐ろしく実用的で、なんといってもカッコイイ。シビレル。ラブ。

でも、よく考えると、複数のウィンドウの間で何かをやりとりしない限り、別に絶対必要な機能というわけでもないんだよね。Windowsでは、alt-tabでアプリケーションを切り替えることができる。もしもアプリケーションを切り替えたいだけなら、ウィンドウが見える必要はない。別に、ウィンドウと別のウィンドウの間に相関関係があるわけでもないんだから。

でも、もしも一つのウィンドウから別のウィンドウにデータをやりとりしたいんだったら、どうだろう。いま、iPhotoで写真をアップロードしたいなと思い写真をつかんだ時に、目的とするウィンドウを探したいなら。そんなとき、exposeは素晴らしい機能になる。写真をつかんでexposeボタンを押そう。目的のウィンドウはすぐにわかる。もしMacBookの日本語キーボードを使っているなら、「Fn」キーにexposeの全ウィンドウを割り当てれば、ドラッグしながら片手でさくさく目的のウィンドウが見つけられる。もしくは、画面の隅にexposeを割り当てれば、すっとマウスを画面の隅にもっていきさえすれば目的のウィンドウはすぐ見つかる。慣れればとっても楽しいものだ。ここでは一つの操作だけに限定して説明したけれど、exposeには他にも、デスクトップを一時的な作業場所と考えたときに最大限に有効に働く「デスクトップを一時的に見せる」という機能もある。Windowsにも「ウィンドウを全部消してデスクトップを表示」というボタンがタスクバーにあるんだけど、これこそ、「同じような機能が、些細な違いで全く別の見え方をしてしまう」といういい例になっている。気になる人は、「デスクトップを表示」してから、別のウィンドウを開いてみてほしい。それは果たして僕らが望んでいた機能だろうか。

とかなんとかグダグダと書いてきたけど、ここでもやっぱり、一つの原理原則から様々な機能を理解できるということが分かる。Macのこれらの機能は、「やりたいこと」に向かって整列しているんだ。それを理解しなければ、単なる見た目が変わっただけの、よくわかんない機能が山ほどついている、Windowsでは出来たことが出来ないOS、にしか見えなくて当然なんだよね。