ドラッグ&ドロップという思想(3)

このへんで、「ドラッグ&ドロップ」を中心に据えると、操作はどんなふうに変わるのか、ということを考えてみよう。昨日のエントリでは「drugdropupload」というFirefoxの機能拡張を使えば、ということをちょっとだけ書いた。

https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/2190

この機能拡張を導入すると、Firefox上のファイルアップロードフォーム、いわゆるひとつのというやつだ、そこに対して別の場所からファイルをずずっと引きずってくると、そこにファイル名を入れてくれる、というだけの機能です。まあ、ブラウザの機能拡張だから出来ることは単純だ。理想を言えば、mixi公開用のドロップボックスがあって、そこにファイルを入れたら公開される、というほうがいい。いやいや、mixiのページにそのままデータを置いたら公開される、のほうがもっといいだろうね。そんなふうに夢はひろがりんぐなんだけど、今はまあこれでpretty goodだと思おう。

さて、果たしてこれって使いやすいのだろうか?という疑問が出てくるのも当然。いままさにブラウザを開いているのだから、ファイルダイアログからすぐアップロードできるならそっちのほうがカンタンかもしれない。それに、そもそも画面は小さいのだから、いちいちドラッグ&ドロップのために別のウィンドウを開くのは面倒だ。ブラウザだけで操作が完結できるほうが分かりやすくないだろうか。

そうそう、その通り。「ブラウザ」を中心に考えれば、そうなる。それに、ドラッグ&ドロップは、「送り先」と「受け手」の二つのウィンドウが開いている必要がある。これは、一般的にあまり広くないPCディスプレイの上で行う作業としてまどろっこしいと考えるのも自然な考え方だ。ぼくは、ドラッグ&ドロップがGUIの歴史の中であまり一般化しなかった理由の一端はこのへんにあるんじゃないかと考えてたりもする。

でも、ちょっと考えを変えてみよう。写真を整理していた段階では、ぼくらは写真を整理するためのウィンドウで仕事をしていたはずだ。MacならiPhotoの上で写真を整理していたはず。だから、この段階ではiPhotoのウィンドウは開いている。一方、どこかに写真を公開したいな、と思った段階で、そのウィンドウを開いたはずだ。mixiに公開したいならブラウザでmixiを開いたはずだし、iWebで公開したいならiWebのウィンドウを開いたはず。この段階で、そもそも「送り先」と「受け手」のウィンドウは開いていると考えても問題ないはずなんだ。だから、もしもディスプレイが充分に大きければ、2つのウィンドウが開いていて、その間で「写真」をやりとりするという操作にそれほど支障はないはずだ。そう、PCのデスクトップが、本当のデスクトップくらい大きければね。出来ればコタツ机くらい大きいと理想だな。

でも、残念ながらそうではない。いくら大きくなったとはいえ、一般的なコンピュータが持っているディスプレイは、そんなに大きなものじゃない。となると、「送り手」と「受け手」の2つのウィンドウを、同時に見えるように開くのは難しい。どうせ一つの瞬間に見ているものは一つのウィンドウでしかないんだし。だったら一つのウィンドウで完結出来る方がベンリだよね。(この考え方を推し進めるとタブブラウザになるんだけど、なんでブラウザはタブだと使いやすいのに、他のモノはあまりタブにならないんだろう、とか考えるのもいい。また、実はWindowsのタスクバーはアプリケーションを全画面で使っている場合の「タブ」だよね、という気付きからは、Windowsがそもそもマルチウィンドウである必要がないOSかもしれないという考えも出てくるかもしれない)

ここで、ウィンドウを1つでやりくりするという考え方を敢えてとらないで、2つ開いたウィンドウをどう使いやすくするか、という考え方をとると、どんなデザインになるだろう。ぼくはそれこそが「expose」なんじゃないかと思う。