つまらない、と思う感情は暴走する

誰でも、つまらない作品に触れてしまったら頭にくる。時間を無駄にした。アホらしい。思わず寝た。金返せ。ココロの中に渦巻くネガティブな感情を誰も止めることはできない。その作品が褒められてたり売れてたりしたら、なおさら憎さ倍率ドン更に倍だ。

つまらないアホらしいと愚痴ればそれで終わりの感情も、行き場のないまま鬱屈するとその理由を求めて彷徨い始める。単調なリズムだ。バランスの悪いミックスだ。独創性に欠けるコードだ。いやエキセントリックすぎる展開だ。面白みのないカットだ。いや多くの理解を超えたレイアウトだ。作画崩壊だ。キレイなだけでつまらない絵作りだ。シナリオが駄目だ。演出がタルい。演出が急ぎすぎだ。萌え重視だ。いや萌えがない。改行ばかりだ。改行がなさすぎる。会話が多すぎだ。会話がなさすぎる。リアリティがない。物語としての面白みに欠ける。……原作通りでつまらない。あるいは、原作を壊している。

当然だが、そこで挙げられたような理由が、それだけで本当に「つまらない」と感じさせるに足る理由であるかどうかは疑わしい。一旦つまらないと感じたら、なにもかもがつまらない理由に見えてくる。そこに挙げられた理由に対していちいち反応をする必要はないし、そもそもその行為には意味がない。ただ、その人がつまらない、と感じたということだけは事実なのだろうな、と思うだけである。どのような感想を抱こうとそれ自体は自由だし、それを表現することも自由だ。

ならば、批評すること、とは何なのだろうか?何が違うものがそこにあるのだろうか?それが出発点だ。