Leopardに関するあれこれ Finder/Dock/Stacks/Desktop編

まずDesktop Experienceに関するファーストインプレッションから。

既存のFinder&デスクトップの組み合わせは、Finder+Dock+Stacksによって完全に置き換えられる方向にあるとみていいんじゃないでしょうか。もともと、MacOSXがPublic Betaのころにちょこっと打ち出して反発の強さに「やーめた」になっていた、その方向のよーな。

まず、Finderのサイドバーがかなりきっちり整理されて、いままでの「あんたなんであるの」というレベルから完全に脱しました。ローカルなファイルシステム、リモートシステム、ローカルの重要なフォルダへのショートカット、Spotlight検索結果のそれぞれがちゃんと整理されて見えるようになった。これによって、1ウィンドウで、必要な情報に最小限の過程でアクセスする仕組みが整ったといってよいでしょう。

次に、Stacksによって、いままでデスクトップに置いておいたようなテンポラリなアイコンに関して、一覧性がよいカタチでアクセスが出来るようになりました。デフォルトでは新設されたダウンロードフォルダとあとDocumentsだっけかな、がstacksになっています。これにアプリケーションを追加すれば、左側のアプリケーションアイコンの部分もすっきり整理することが出来ますね。

これに加え、QuickLookとCoverFlowによってファイルの中身を簡単に確認することができるようになり、アプリケーションに依存することなくFinderの範疇でブラウズが出来るようになりました。これはまあ、いままでもサードパーティ製のソフトを使えば出来ていたようなことですが、統一したインタフェースが定義されたのが大きい。標準だし。

このようにLeopardのFinderは、ファイル管理のため、というところから何歩も抜け出していて、より整理されたカタチでファイルを見せる、というところにチカラが注がれているといってよいでしょう。ただし、こういった要素の相互の関係性は、まだまだ洗練されているとは言い難いかもしれません。

まず、Stacksに関しては、その中にフォルダがあったときの振る舞いがいまひとつ。せっかくDockからわかりやすいカタチでファイルが見えているのに、フォルダを一階層たぐるといきなりFinderに突入してしまう。これは、Dock/StacksとFinderがうまく役割分担出来ていないのでは。StacksはStacksで、階層をたぐったり多すぎるファイルをきちんとブラウズ出来るようになっているべきなんじゃないか。アプリケーションフォルダをstacksに登録したらいい感じ、と書きましたが、iWork'08に関してはフォルダの中にそれぞれのアプリがあるので、StacksからはiWork'08の入っているFinderを開くことしか出来ない。StacksからFinderに移るところにはかなり大きなギャップがあって、快適とはちょっと言い難い。

また、StacksからFinderに移るときに、新しいウィンドウを開くべきかどうか、という問題もある。新しいFinderになって、いままで以上に1ウィンドウで完結するモデルになってきたので、ここで新しいFinderウィンドウが開かれると混乱を招くように思える。この辺の動作は、操作の一貫性という意味ではかなり混乱している。現行の動作は、どこかのFinderでそのフォルダが開かれている場合は、それをフォアグラウンドにもってくる。もしも開かれてない場合は、最後にそのフォルダが単独で開かれていたときのFinderの見え方を引き継ぐ。

たとえば、ウィンドウを2つ用意して一つはカラムビューで「アプリケーション」フォルダを、もう片方はアイコンビュー(&ツールバーを隠す)で「書類」フォルダを開いておくとする。その後で、「書類」フォルダのウィンドウを閉じる。その状態でStacksの書類フォルダを開き「Finderで表示」を選ぶと、さっき閉じたウィンドウが同じ設定で再び開く。次に、その「書類」フォルダを閉じてから、カラムビューの方のウィンドウで「書類」フォルダを開く。この状態で、もう一度Stacksの書類フォルダから「Finderで表示」を選ぶと、カラムビューのウィンドウが出てくる。

ロジックとしては分かるけど、これが直感的かと言われると悩む。まだしも、Stacksの見え方を引き継いだアイコンビューで常時開かれるほうが直感的な気がするし、できれば全く同じ見え方になるようにStacks自体を拡張するほうが自然だ。また、「Finderで明示的に開く」という操作であると定義するなら、常時カレントの(メインで作業している)Finderウィンドウに出てくれたほうが違和感は少ない。

ただ、現在のFinderには、複数ウィンドウが開かれているときにどれがメインでどれがサブ、といった区別がないので、それはそれで難しいと思われる。ここでFinderの行く末には難しい選択肢が生まれる。旧MacOSを引き継いだ複数ウィンドウによるオペレーションを残してうまくやるのか、それとも、旧OPENSTEP系を引き継いだ1ウィンドウ系のオペレーションをつきつめていくのか。(とはいえ、OPENSTEPの操作経験はほとんどないので、実際OPENSTEPのWorkspace Managerがどうだったかは詳しく説明できないが)

個人的には、Dock/Stacksの部分でウィンドウがぱかぱか開いていく旧MacOS的な操作を実現しつつ、Finderに関しては1ウィンドウオペレーションを突き詰めていく、というのがバランス的にはいいような気がしている。つまり、そもそも旧MacOS Finder/Desktopと、Workspace Manager系のFinderではそもそも考え方が違っていて、それをムリヤリ融合させていたのがMacOSXのいままでのFinderなのだとしたら、ここでもういちど役割分担を導入できるんじゃないか。Dock/Stacksにおけるアイコンベースの直感的なアクセスと、Finderによる抽象的な強力なファイル操作、という2つの別々の見え方を導入することで。